NOSAI家畜診療所の牛群検診
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岩手県農業共済組合 |
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県内のNOSAI家畜診療所では、岩手大学動物病院と連携を図りながら平成5年度から酪農家の生産性(乳量・乳成分)向上、病気の発生の予防、繁殖成績(受胎率)の向上を目的に牛群検診を実施しております。 近年の牛の個体能力の向上と多頭化に伴い、個体管理技術の質的変化が進むとともに、個体管理(一頭一頭毎の管理)から群管理(周産期、泌乳期、乾乳期などのステージ別の飼養管理)への転換がすでに始まっています。こうした状況に対して家畜診療所獣医師の立場から酪農家のみなさんをお手伝いするために、代謝プロファイルテスト(血液検査)を応用した牛群検診を実施しております。平成14年度以降県内の検診実績は次のとおりとなっております。 |
14年度 | 15年度 | 16年度 | 17年度 | 18年度 | 19年度 |
1432頭 | 925頭 | 482頭 | 521頭 | 530頭 | 374頭 |
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〔利用者の声〕 花巻市大迫町内川目 伊藤勝一氏(58歳) |
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私が「牛群検診」を取り入れたのは7,8年前から。NOSAI家畜診療所の獣医師からの紹介です。血液検査やボディコンデションスコア、餌の種類・やり方など、岩手大学の先生から細かく聞かれ指導されました。各ステージごとに餌を設計していただき、「必ずこれを守ってやってください」と言われまして。結構、難しくて大変でした。 牛群検診をやってきていちばん良かったと思う点は、餌のやり方だと思うんですが、まず死亡廃用事故がほとんどなくなったこと。それから牛の供用期間がぐっと延び、歳をとってきても乳量がまず落ちてこないこと。種の付き具合もいいです。更新もそれまで3産ぐらいでしたが、いまは平均5産ぐらいまでに近づいています。乳量も平均10,000キロと検診を受ける前に比べ2,000キロほどアップしました。検診は年1回〜2回。搾乳牛の半分を診てもらっています。NOSAIの補助もありますし、4、5万の経費はかかりますが、トータルでみたらやはり受けるメリットは大きいと思います。厳しい時代ですから、工夫しないと入ってくるものも増えない。こういった検診を利用する価値は十分にあると思います。 |
〔経営内容 ホルスタイン種80頭、ブラウンスイス種20頭〕 |
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NOSAI獣医師による採血 |
〔資料〕 |
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@検診目的 | |
1.生産性(乳量・乳成分)の向上 | |
2.病気の予防 | |
3.繁殖成績の向上 | |
A代謝プロファイルテスト | |
代謝プロファイルテストとは、体に入ってくるもの(飼料等)と出ていくもの(牛乳等)のバランスを血液によって判定する方法です。これにより生産に応じた飼料給与が適切に行われているか、どうかが判定できます。 | |
B実施する検査項目 | |
エネルギー代謝検査、蛋白質代謝検査、無機質代謝検査、肝機能検査、炎症の検査、ボディコンディション(肥満度)の評価、飼料診断(粗飼料成分分析を含む) |
■ 牛群検診の受診方法 |
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《対象農家》 | ||
牛群検定を行っていて、健康なホルスタイン種乳牛を原則として20頭以上飼養している、飼養管理の改善への意欲がある酪農家。 | ||
《受診方法》 | ||
1. | 申込先は地元のNOSAI | |
2. | 効果を上げるための理想的な受診方法は、1年に1〜2回、3年間連続で、同一時期に受診することですが、強制ではありません。 | |
《対象牛》 | ||
外見上異常のない、健康な牛が対象です。各泌乳期4頭ずつ合計20頭ですが、各泌乳期4頭を確保できない場合は、他の泌乳期の牛を増やして対応します。 | ||
泌乳初期 (分娩後 7日〜49日) 泌乳最盛期 (分娩後 50日〜109日) 泌乳中期 (分娩後 110日〜219日) 泌乳後期 (分娩後 220日〜乾乳) 乾乳期 (乾乳〜分娩予定10日前) |
【牛群検診の流れ】 |
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《事前調査》 | ||
検診実施のおよそ1週間前までに、NOSAI家畜診療所の獣医師が行います。最新の牛群検定成績表を準備しておいてください。給与している飼料も見せていただきます。 | ||
@ | 調査用紙(様式1 略)疾病発生状況はNOSAIで記入しますので、検定成績は農家で記入してください。 | |
A | 調査用紙(様式2 略)対象牛を選定して記入してください。 | |
B | 調査用紙(様式3 略)給与量は秤で確かめましょう。 | |
配合飼料の表示票を準備してください。 | ||
粗飼料成分分析のためのサンプルをいただきます。 | ||
《検診当日》 | ||
採血は原則として朝食給与後4時間から昼食給与前の午前10時から12時の間に1戸(ないし2戸)で行います。採血を行う個体がすぐにわかるように、床やスタンチョン等に牛の採血番号等を表示しておいてください。 採血後に、給与飼料の質の評価、およびボディコンディションの評価、運動器(関節と蹄)の評価を行います。これが済んだら検診車内で血液検査等を行います。 |
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《検討会》 | ||
原則として検診当日の午後に現地で実施します。この時の話の基になるものは、血液検査成績、給与飼料診断、粗飼料分析結果、事前調査表です。さらに飼料設計のモデルを示します。 | ||
《農家負担》 | ||
1頭血液検査する経費に3,150円かかりますが、NOSAIで1頭あたり1,500円補助しますので実質1頭あたり1,650円となります。20頭検診を受ければ農家のみなさんの負担は1,650円×20頭=33,000円となります。 |
▲NOSAI獣医師による採血 | ▲ボディコンディションの評価 |
▲岩手大学動物病院の検診車。最新の機材を搭載。 | ▲検診車の内部。 最新機材で迅速かつ高精度の血液分析を行う |