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水田経営所得安定対策
(品目横断的経営安定対策)とNOSAI

−担い手に対象を限定しその経営の安定を図る支援対策へ転換−



 平成17年3月に閣議決定された新たな「食料・農業・農村基本計画」に明記された、品目横断的経営安定対策(以下、「経営安定対策」という。)が平成19年産(水稲、麦、大豆)から導入されることになりました。この経営安定対策は、価格政策から所得政策への転換を具体化するものであり、全ての農家を対象にした品目毎の価格政策を一定要件以上の担い手農業者に絞って経営全体に着目した対策を講じるもので、戦後の農政を根本から転換するものです。

 本県の農業・農村は、農業従事者の減少をはじめ、高齢化、後継者不足等に伴う耕作放棄地の増大など厳しい状況になっていることから、この農政改革を効果的に活用して認定農業者による大規模個別経営と小規模農家、兼業農家をはじめ、高齢者、女性農業者等、多様な構成員による集落営農に再編(特定農業団体等の設立)することが不可欠です。

 経営安定対策は諸外国との生産条件格差から生じる不利の補正と価格低下などによる収入の減少を補てんする仕組みですが、災害による損失の補てんは、従来どおりNOSAI制度がその役割を担うことを前提としています。このため、両制度に加入して経営安定が図れるよう関係機関・団体と連携しながらNOSAI団体をあげて取り組んでまいります。



Q & A

水田経営所得安定対策(品目横断横断的経営安定対策)についてQ&A方式で説明いたします。
Q1 水田経営所得安定対策(品目横断的経営安定対策)とは?
Q2 どのような農家の方が支援対象となるのですか?
Q3 支援の内容にはどのようなものがあるのですか?
Q4 NOSAIとの関連はどのようになっているのですか?
Q5 水田経営所得安定対策(品目横断的経営安定対策)とNOSAIのスケジュールはどのようになっているのですか?
Q6 集落では特定農業団体等が組織化されていますが?
Q7 安定対策の実施と集落における共済部長さんの役割はどのようになりますか?




Q1 水田経営所得安定対策(品目横断的経営安定対策)とは?

 わが国の農業は、農業者の数が急速に減り、また農村では都会以上のスピードで高齢化が進んでいます。一方、国外に目を向けると、WTO(世界貿易機関)の農業交渉では、国際ルールの強化などの交渉が行われています。
 このような状況のなかで、今後の日本の農業を背負って立つことができるような、意欲と能力のある担い手が中心となる農業構造を確立することが“待ったなし”の課題となっています。

 そこで、これまでのような全ての農業者の方を対象として、一律的に個々の品目(米、麦、大豆)ごとに講じてきた施策(米:担い手経営安定対策・稲作所得経営安定対策、麦作経営安定資金、大豆交付金・大豆作経営安定対策)を見直し、19年産からは、意欲と能力のある担い手に対象を限定し、その経営の安定を図る施策(水田経営所得安定対策(品目横断的経営安定対策))に転換されることになりました。

 経営安定対策には2つの支援対策があります。


@ 諸外国との生産条件格差を是正するための補てん(ゲタ対策)
    ・・・麦、大豆が対象
A 収入の変動の影響を緩和するための補てん(ナラシ対策)
    ・・・米、麦、大豆が対象




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Q2 どのような農家の方が支援対象となるのですか?

 支援の対象となる「担い手」は、

@  認定農業者で4f以上の農地面積を有している方。
A  一定の条件を備えた集落営農組織(特定農業団体等)で20f以上の農地面積を有していること。
特定農業団体: 経営主体として実体を有する集落営農組織で、農用地の利用集積を図り地域農業の担い手として発展していくことを目的とします。(農業経営基盤強化促進法の一部改正により創設された制度)
■ 一定の条件とは
ア. 農用地の利用集積目標を定めます
地域の農用地の2/3以上を集積(農作業を受託する)する目標(5年後)を定めます。
イ. 規約を作成します
代表者、構成員、農用地の利用・管理に関する事項等を定めた組織の規約を作成します。
ウ. 経理の一元化を行います
集落営農組織の口座を設けて、農産物の販売名義をその組織とし、販売収入をその口座に入金します
エ. 主たる従業者の所得目標を定めます
組織の主たる従事者について、農業所得目標(市町村基本構想の水準以上)を定めます。
オ. 農業生産法人計画(5年以内)を作成します
作業受託面積、生産方式など、農業生産法人となるまでの取り組みを記載します。
 なお、面積等経営規模の要件に、市町村などの地域ごとに特例基準(要件緩和)が定められている場合がありますので、市町村に確認することが大事です。


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Q3 支援の内容にはどのようなものがあるのですか?

□ 生産条件不利補正対策(ゲタ対策)
 諸外国との生産コスト格差を埋める対策で「日本型直接支払い」とも呼ばれており、本県では*麦と大豆が対象となります。この対策はさらに麦・大豆の過去3年間の生産量に応じて支払われる「緑ゲタ」対策と、19年産から毎年の生産量・品質に基づく「黄ゲタ」対策に分かれます。ゲタ対策は現行対策とほぼ同じ*支援水準ですが、黄ゲタ対策は、生産性や品質の向上など担い手の努力に応じてより多くの支払いを受けることができます。「緑ゲタ」は、耕作を続けていく限り支払われるもので、麦・大豆の作付けにかかわらず、一定額の支払を継続的・安定的に受けることができるため、経営の自由度が高まり思い切った規模拡大や新たな作物の導入などに取り組むことができます。

ゲタ対策による支援水準 (円/10a)
小麦 大豆
40,400円 28,900円
注) 全国の平均的単収と同一水準の市町村であって、標準的な品質のものを生産した場合。
*ゲタ・ナラシ = 一定要件を満たす担い手を対象に一律に交付金を交付するという意味で「ゲタ」をはかせる、上乗せするという意味です。一方、ナラシとは収入の減少した品目を補てんし均一にするという意味で使われております。

□ 収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)
 担い手の生産物の販売収入の減少が、その経営に及ぼす影響を考慮し、本県では米、*麦、大豆を対象として、その年の対象品目ごとの販売収入の合計額が、最近の平均収入額を下回った場合に、減収額の9割を補てんするもので、市場価格の低下や収量の減少に伴う収入の減少の影響が緩和されます。この支援を受けるためには一定額の拠出が必要です。
 *種子用の麦・大豆、黒大豆はゲタ・ナラシ対策から除かれます。



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Q4 NOSAIとの関連はどのようになっているのですか?

 NOSAI制度は、国の災害対策の基幹的制度として、従来から幅広い農家を対象に実施してきました。NOSAI制度の機能・役割は、今回の改革でも変わるところはありません。こうしたことから担い手のみなさんは、安定対策とNOSAI制度に加入していただき、経営の安定化をはかる必要があります。NOSAI制度との関連では、補償の範囲が従来と異なること、不作の場合にはNOSAIとの関係調整が出てきます。

□ 生産条件不利補正対策(ゲタ対策)
 緑ゲタ部分が毎年の収穫量に関係なく支払われることから、NOSAI制度の補償範囲に含まれなくなります。このためNOSAIの補償水準は黄ゲタ部分と販売価格を合わせた部分となり、具体的には、最高共済金額(契約補償額)は麦では現行の5割程度、大豆では6割程度となります。これに伴い共済掛金も安くなります。
 なお、担い手以外の農家はゲタ対策交付金が支払われないため、NOSAIの補償水準は販売価格の部分だけとなります。


基準となる収入

□ 収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)

@  災害発生により収量が減収し、収入が減少した場合は、NOSAIとの関係調整が行われます。具体的には出来秋の県単位で統計単収(東北農政局統計・情報センターが公表する10a当たりの収穫量)が米の平年収量の9割、麦・大豆については国指示単収の9割(大豆8割)を下回った場合に、当然、共済金が支払われたものとみなして、一律その分を控除して、ナラシ対策が発動(交付金が計算)されます。品目横断ということで、農家トータルの収入増減額を計算し、収入減の場合は補てんされることになります。
A  平成16年産(麦については17年産)から制度改正により、組合員毎に加入方式の選択の幅が拡がりましたが、経営安定対策では、個々に実際に被害を受け共済金が支払われるかどうか、どの加入方式を選択したか(補償水準の高低)、大豆共済への未加入には一切関係なく、農政事務所においてNOSAI最高補償割合への加入を前提に一律に計算されることになります。
 実際に被害に遭われた担い手農家の方には、これまでどおりNOSAIが損害評価を行い、加入方式に応じて共済金が支払われます。
B  経営安定のためには、収入減少緩和対策と併せてNOSAI制度に加入し、できるだけ高い補償割合を選択する必要があります。



□ その他 水田経営所得安定対策(品目横断的経営安定対策)等とのNOSAI制度との関連

@  県内のNOSAIでは、水稲、麦、大豆の最高補償割合の加入方式を選択できるよう整備するとともに、これら方式を選択した場合、損害評価にかかる確認作業が軽減されることから事務費賦課金単価を割引く措置をとっております。

 水稲 全相殺9割補償方式・品質9割補償方式
  麦  全相殺9割補償方式・災害収入9割補償方式
 大豆 全相殺8割補償方式

@ 全相殺方式は農家単位にプールし減収を把握する方法。品質・災害収入方式は減収とともに品質低下も把握する方法
A 組合により規定している方式が異なる場合や、事務費賦課金単価の割引き状況が異なることがありますので、詳細については最寄りの組合までお問い合わせください

A  集落組織の構成員となっても、無事戻し相当額を奨励金として支払えるよう要領を整備しましたので、これまでどおり一定期間、共済事故が発生しなかった場合などは、共済掛金の一部払い戻しを継続して実施します。


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Q5 品目横断的経営安定対策とNOSAIのスケジュールはどうなっているのですか?

 平成18年9月1日から19年産麦にかかる「品目横断的経営安定対策」の加入申請が東北農政局岩手農政事務所で始まりました。「ゲタ対策」にかかる交付金、「ナラシ対策」にかかる交付金を受けようとする担い手の方は、定められた期間内に手続きを済ませることが必要です。
 安定対策にかかる加入申請と支払い、農業共済への加入手続き、補償期間、共済金支払のイメージ図はご覧のとおりで、農業共済については、これまでどおり加入申込手続き、損害評価、共済金の支払い時期等について何ら変更はございません。なお、安定対策、農業共済ともに具体的に申請(加入)期限等が設定されております。



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Q6 集落では特定農業団体等が組織化されていますが?

□ 特定農業団体等の設立
 岩手県担い手育成総合支援協議会によると、平成17年3月末の本県の担い手農業者数は、認定農業者6,915名、集落営農組織39組織(うち特定農業団体18団体、特定農業法人6法人)、農業法人353法人にとどまっており、さらに、こうした経営体においても、農業従事者の高齢化や後継者不足等が顕在化しております。
 このため、今後、持続・発展が可能な地域農業の実現に向けて集落営農による農地利用調整活動を促進し、経営感覚に優れた自立的な認定農業者や集落営農組織を育成していくことが不可欠で、品目横断的経営安定対策を踏まえれば、小規模兼業農家もそれぞれの役割を担いながら参画する集落営農組織(特定農業団体等)を育成していくことが緊急の課題となっております。
□ 集落営農のメリット
 集落営農に取り組むことにより、「機械・施設の効率利用」が図られ、「構成員の農業所得」と「労働時間あたりの農業所得」が高くなります。

 東北地方における任意組織の構成農家1戸あたりの水稲作付面積に近い2〜3ha層個別経営との比較
〔平成16年組織経営の営農類型別経営統計抜粋〕
区    分 単位 任意組織経営構成農家
1戸当たりの2〜3ha@
個別経営の
2〜3ha層A
比較A-@
農業収支 農業所得 千円 1,822 1,685 137
経営耕地面積10a当たり 千円 64 50 14
構成員(家族)農業
労働1時間当たり
4,227 1,065 3,162


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Q7 安定対策の実施と集落における共済部長さんの役割はどのようになりますか?

 9月1日から麦を作付けする担い手農家を対象に「品目横断的経営安定対策」の加入申請がはじまりました。NOSAIも市町村、農業委員会、JAなどとともに担い手農家育成のため支援しておりますが、集落内における担い手確認には、共済部長さんの協力が何としても不可欠です。また、共済部長さん自身が集落内営農組織設立時のリーダーとして、NOSAI制度とのかかわりについて説明する機会も多々あることと思います。
 今後、担い手農家と担い手以外の農家では補償水準が異なってくることや、担い手以外の農家にとって経営安定化に役立つ制度はNOSAI制度だけとなりますので、正確な情報に基づいた加入手続き、共済金支払い手続きを進める上からも、従来にも増してご協力をお願いいたします。 

〔参考資料 @集落営農組織(特定農業団体等)設立指導指針:岩手県担い手育成総合支援協議会 AAFF2006/8月号農林水産省広報B農業共済新聞2006年8月2週号:全国農業共済協会発行〕


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