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基本技術を見直そう

小麦の安定生産のために


赤カビ病 薬剤散布時期に注意


農業共済新聞「NOSAIのページ」の連載から(4月4週号掲載)
 気温が一気に上昇し、小麦の生育が旺盛になり、出穂を迎える地域では、収量を確保して品質を高める防除作業が重要になります。
         
〈主要病害の対策〉
▼赤カビ病
 近年、特に重要な病害として徹底防除が求められています。赤カビ病の主要な病原菌は糸状菌のフザリウムで、罹病(りびょう)した子実は収穫時には白っぽいくず粒や不稔(ふねん)粒になります。また、フザリウムの産生するマイコトキシン(カビ毒)のデオキシニバレノール(DON)は、これに高濃度で汚染された食品を食べると、下痢、頭痛、めまい、腹痛や嘔吐(おうと)などの食中毒症状を引き起こし、食品衛生法の暫定的な基準値が1・1ppmに設定されています。さらに農林水産省の検査規格では赤カビ粒の混入率の限度が0・0%(0・04%未満、1万粒中に4粒未満)に設定され、これを超えると規格外になります。このため赤カビ病の防除対策を徹底する必要があります。
 赤カビ病は、@開花期間中に降雨日が多いと多発しやすいA開花期間中、感染した粒が赤カビ粒となりDONが蓄積するB登熟後半に発病穂内において二次感染する。二次感染した部位は赤カビ粒にならず外観上健全であるが、DONは蓄積しているC赤カビ粒は開花期間の薬剤散布により低減できる――などが明らかにされています。
 適正な散布時期は出穂後5〜7日後の開花始めに1回目の防除、これから7〜10日後に2回目の防除を行います。さらに二次感染予防のために開花20日後の追加防除も有効です(図参照)。農薬の選定には系統の異なる薬剤を交互に用いて薬剤耐性菌の発生を防ぎます。なお、二条大麦や六条大麦は散布適期が小麦とは異なります。地域の農業改良普及センターなどの情報をご確認ください。

▼ウドンコ病、赤サビ病
 ウドンコ病は春期に温暖で曇雨天が続き、チッ素過多で軟弱、過繁茂した条件で、赤サビ病は早春に暖かく、チッ素の多施用や早播き、過繁茂の条件で多発します。これら病害には、赤カビ病防除に用いる多くの薬剤が同時に防除効果を示します。赤カビ病の適切な防除でこれら病害の被害も減らすことができます。

▼縞萎縮病
 葉身にかすり状の退緑斑点が現れのちに黄白色の縞(しま)状になり株が萎縮し、分げつが抑制されて穂長も短くなり、減収します。コムギ縞萎縮ウイルスを病原とする土壌伝染性の病害で、発生すると数年間にわたって病原性を保持します。@ウイルスは秋期のうちに根に感染し地上部に移行し増殖するため、早播きで発病が多くなりやすいA土壌水分の多い圃場、滞水しやすい場所で発生しやすく、転換畑での発生が多いB共同で使用するトラクターのタイヤや耕起・砕土用作業機の付着土壌で伝染する――などの特徴があります。発生圃場では防除法がないため、小麦の作付けを避けることが重要で、やむを得ず作付けする場合には、発生圃場での作業後は現地で付着した土壌を洗い流し、病土を移動させないなどの対応が必要です。

〈雑草対策〉
 小麦圃場で注意を要する雑草は多年生雑草やイネ科雑草で、秋のうちに十分な除草対策をとる必要があります。連作をするとイネ科や越年雑草など雑草の種類や発生量が多くなり、転換畑では排水不良による欠株や極端な生育の遅れを生じやすく輪作体系など適切な栽培技術の導入や圃場条件の改善が大切です。

 除草剤の使用には、@耕起前雑草茎葉散布=前作での雑草が多い場合には、耕起前に茎葉処理剤を散布しますA全面土壌散布=播種後に土壌処理剤を散布します。除草効果を高め、種子への薬害を避けるために砕土性を高めて種子を確実に覆土しますB小麦生育中の雑草茎葉散布=小麦出芽後に発生した雑草に茎葉処理剤を散布――があります。

 除草剤使用に当たっては、作付け圃場の優先雑草を考慮し、地域の農業改良普及センターなどの栽培基準や栽培マニュアルなどを参考に適応した剤を選択し、適正使用に留意します。また、周辺作物に薬剤が飛散しないよう、散布に当たっては、十分な注意が必要です。

(農研機構・中央農業総合研究センター作業技術研究領域上席研究員 大下泰生)